現実で生きろ

私の癌に対する治療。手術以外で有効と認められて、保険治療が可能なものは日本にはない。他の癌のために開発された薬が、私の癌に有効性が期待されると少しずつ報告されてきたおかげで、やっとアメリカで治験が始まったとのこと。主治医の先生に調べてもらったら、テキサス州ヒューストンにある有名な病院ならやっているかもと手紙と資料が届いた。非英語圏の患者の受け入れ実績が高く、国際的にがん治療の最先端をいく病院だそうな。
まずはどのくらいの期間や費用が必要なのかアバウトでもいいからわからないと、って思って電話をしてみたら、「治験の候補に私がなれるかどうか」、アポをとって査定(医療審査)を一通りするのに2万〜4000万ドルかかると言われてしまった。びっくり!そしてその金額の幅の大きさったら…。やっぱり一般人がひょいっとできることではないんだと思った。そもそもそんなお金をポンと出せないし、治験段階で実際に本当に薬が効くかもわからない、抗がん剤だから副作用もでる、治療のために子どもと離れたり仕事を辞めなくちゃいけなくなるリスク等を天秤にかけたら、現実的ではないよね。
というわけで、渡米の選択肢は消えた。すっきりしすぎて涙も出ない。

ここまでくると80歳まで生きたらとか夢は見ない(先生は60までも厳しいと言ったし)。もちろん少しでも長生きできたらいいけど、夢見るより私にはしなくちゃいけないことがたくさんあるはず。